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Interview

退院後の「ありがとう」が原動力。入職12年目の作業療法士が宇治病院で追求する「その人らしい生活」

京都府宇治市にある社会福祉法人あじろぎ会宇治病院リハビリテーション部で働く作業療法士

宇治病院 リハビリテーション部 作業療法士 主任 Nさん

佛教大学を卒業し、2015年に宇治病院へ新卒で入職。以来、各病棟で臨床業務に携わる。リーダー、副主任を経て、現在は主任として作業療法士チームをまとめながら、実習の受け入れや採用面接にも関わる。

▼目次
・患者様を「線」で見れる宇治病院との出会い
・1年目の自分を支えた、退院後の患者様の声
・多職種連携で見える患者様の暮らし
・気軽に相談し合える垣根の低いチーム
・「その人らしい生活」を追求したい方へ

国際協力から医療の道へ。患者様を「線」で見られる宇治病院との出会い

私が作業療法士という仕事を初めて知ったのは、高校生のときでした。国際協力や英語について学ぶ学科に在籍していて、医療の道に進むことはまったく考えていませんでした。そんな中、青年海外協力隊として活動されていた作業療法士の方が、講義のような形でお話をしてくださる機会がありました。

その方は海外の学校で、発達領域の支援をされていたようでした。お話を聞いて、国際協力の場には医療的な支援もあるのだと知りました。英語が話せるだけでなく、「自分はこれができます」と言える専門性があれば、もっと人の役に立てるかもしれない。そう感じたことが、作業療法士を目指す入口になりました。

作業療法士になるための大学を調べる中で、日本の医療の現状を知りました。大学に入ってからは課題や勉強に追われる毎日でしたが、その中で作業療法の幅広さを知り、実習で患者様と関わるうちに、まずは日本でしっかり技術を身につけたいと考えるようになりました。

就職先は、身体障害分野の病院にしようと決めていました。宇治病院を知ったのは、同級生の実習先だったことがきっかけです。当時の宇治病院には、急性期に近い段階の患者様もいらっしゃいました。そこから在宅や施設へ移られるまでを、「点」ではなく「線」で見られる環境です。さらに、同じ法人内に老健や訪問リハビリ、特別養護老人ホームがあり、退院後の生活を知る機会があることにも惹かれました。最後は、同級生の強い勧めもあり、一緒に入職を決めました。

京都府宇治市にある社会福祉法人あじろぎ会宇治病院リハビリテーション部で働く作業療法士

「この人のおかげ」。1年目の自分を支えた、退院後の患者様の声

入職して間もない頃は、思うようにいかないことの連続でした。リハビリには期限があります。終わりから逆算して「今これをしないと、ここまで届かない」と考える感覚をつかむまで、ずいぶん苦労しました。「この患者さんはどこまで良くなれるんだろう」と焦ることもありました。

それでも、この仕事を続けてこられたのは、患者様からいただいた言葉があったからです。最初はほとんど言い合いのようになりながら「とりあえず歩きましょう」と練習を重ねた方がいました。その方に、退院のときに「あんたに診てもらえて良かったわ」と言っていただけたのは、本当に嬉しかったです。

宇治病院は地域の病院なので、退院された後も外来の受付などで患者様にお会いすることがあります。「階段を上れるようになったよ」「おせちが作れたよ」と報告してくださる方もいます。ご家族から「あんなに嫌がっていたデイサービスで友達ができて、ずっと通っているんです」と聞いたこともありました。

特に忘れられないのが、1年目のときのことです。用事があって法人内の老健に行くと、デイルームで以前担当した患者様にばったりお会いしました。その方が周りの利用者様に「この人のおかげで、トイレに行けるようになったんやで」と、まるで自慢するように話してくださったんです。当時はできないことばかりで、「作業療法士です」と名乗ることさえ気おくれしていました。だからこそ、その言葉が大きな励みになりました。

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多職種連携で見える患者様の暮らし

私が入職した頃は、患者担当制でした。現在は、病棟ごとにチームで担当する病棟担当制をとっています。私はどちらも経験してきましたが、それぞれに良さがあります。

患者担当制では、入院から退院まで一人の患者様にじっくり向き合えます。一方、病棟担当制では、病棟のチームとして看護師さんなど他部署と連携する機会が格段に増えます。

たとえば「食事ラウンド」では、食事の時間に担当以外も含めて病棟の患者様全員の様子を見ます。姿勢が崩れている方がいれば写真を撮り、「こう直すと、姿勢を保って食事ができます」と看護師さんに伝えます。寝たきりの方もいらっしゃるので「ポジショニングラウンド」を行い、褥瘡の予防にポジショニングが効果的かを確認しています。

病棟では、患者様層に合わせたレクリエーションやリハビリカンファレンスも実施しています。その中で作業療法士に求められるのは、「退院後の生活では、こういう問題が起こりそうです」と自分から発信することです。

また、法人内に老健や訪問リハビリがあるので、退院後の様子を知ることもできます。ご自宅で転倒して再入院される方もいらっしゃいます。そんなときは必ず情報を共有し、「病院で練習していた動作を、自宅ではしていなかった」といった気づきを次のリハビリに活かしています。ADLから趣味活動まで、患者様の全体像を聴き取ることも、作業療法士の大切な役割だと考えています。

京都府宇治市にある社会福祉法人あじろぎ会宇治病院リハビリテーション部で働く作業療法士

主任として支える後輩の成長と「全体像」の視点

今年から主任になり、非常勤を含めて15人ほどの作業療法士チームをまとめています。主な業務は、患者様の振り分けや実習の受け入れ、各大学との連絡です。採用面接にも同席し、作業療法士の立場からお話ししています。

私が入職した頃は、今ほど研修制度は充実していませんでした。それでも先輩方にはすぐに相談でき、私物の資料を貸してくださったり、手技の練習に時間を割いてくださったりしたことが大きな支えでした。今はスターター研修や基礎研修が年間を通して開かれ、学べる仕組みがしっかり整っています。

作業療法士としては、症例発表の支援にも力を入れています。1年目はOT課内、2年目はリハビリテーション部内で発表し、少しずつ共有の範囲を広げていきます。教育は1年目で終わるものではないので、2年目、3年目と、年次に合わせて指導することを意識しています。

1年目のスタッフが特に苦労するのが、患者様の「全体像」を見ることです。「肩が痛い」と言われれば肩を評価し、体力をつけるためにまず歩く練習をする。どうしても目の前の症状に意識が向き、「歩いて何をしたいのか」という視点が抜けてしまいがちなんです。

たとえば目標が買い物なら、どんな道を歩くのか、距離はどのくらいか、車や人の通りはどうか。そこまで聞いてはじめて、本当に必要な練習が見えてきます。私たちが考えるゴールと、患者様が思い描く生活がずれていることもあります。そのすり合わせは簡単ではありませんが、一緒に考えながら伝えていきたいと思っています。

京都府宇治市にある社会福祉法人あじろぎ会宇治病院リハビリテーション部で働く作業療法士

希望を尊重したシフト調整と、気軽に相談し合える垣根の低いチーム

作業療法士の男女比は、ほぼ半々です。20〜30代のスタッフが多く、結婚や出産、お子さんの行事などで休みが必要な人も少なくありません。

シフトは、基本的に一人ひとりの希望を尊重して組んでいます。休日の人数の兼ね合いで、変更をお願いすることもあります。ただ、「この日だけは絶対に動かせない」という日は事前に色分けして把握し、みんなで協力して調整しています。私自身も、休みはしっかり取れています。

新人にはプリセプターがつきますが、それ以外のスタッフも困っていそうな人がいれば声をかけます。新人に限らず、誰でも気軽に相談し合える。そんな垣根の低さが、チームとして成長できる良さだと感じています。他職種との仲も良く、先日は看護師さんと一緒に淀の競馬場へ出かけました。競馬場は地域の方にもなじみのある場所で、昔そこで働いていたという患者様と話が弾むこともあります。

京都府宇治市にある社会福祉法人あじろぎ会宇治病院リハビリテーション部で働くセラピスト

急性期から生活期へ。暮らしの視点を深め、在宅を見据える力

私の実習先は急性期の病院でした。急性期では、まず疾患から評価に入ります。脳梗塞なら脳梗塞の評価を行い、痛みがどこに、どんなときに出るのかを確認する。身体機能を中心とした情報は、転院時のサマリーでもしっかり届きます。

一方で、「もともとどんな暮らしをしていたのか?」「どんな介護サービスが必要か?」といった生活面の情報は、入院期間の短い急性期ではどうしても手薄になります。急性期から転院してこられた方を受け入れ、生活の視点を深めていくことも、宇治病院の役割だと感じています。

この10年あまりで、リハビリを取り巻く環境は大きく変わりました。ただ時間をかけるのではなく、限られた期間で成果を出すことが求められています。同時に、地域全体で在宅生活を支える流れも強まっています。

これからの作業療法士に必要なのは、患者様のその後の生活までしっかり見据える力だと思います。看護師さんだけでなく、ケアマネージャーさんとも連携するので、コミュニケーション力も欠かせません。黙々と治療に向き合うことはもちろん大切ですが、そこにプラスアルファの力が求められていると感じます。

京都府宇治市にある社会福祉法人あじろぎ会宇治病院リハビリテーション部で働く作業療法士

「その人らしい生活」を一緒に追求できる方へ

今年度、作業療法士チームは「その人らしい生活とは何かを追求する」という目標を掲げています。

その人らしさは、自宅に帰ることだけではありません。施設で暮らすことになっても、その人らしさが失われるわけではないと思うんです。その方がどんな生活を望まれているのか、どんな生活なら実現できるのか。疾患としてではなく、「ひと」として患者様をとらえ、しっかり向き合って考えられる方に来ていただけると嬉しいです。

当たり前のことと思われるかもしれませんが、実践するのは案外難しいものです。少しでも「その考え方、いいな」「もっと知りたい」と感じていただけたら、ぜひ見学にお越しください!

(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)


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宇治病院リハビリテーション部では、スターター研修や基礎研修、年次に合わせた症例発表の支援など、若手が段階的に学べる環境を整えています。病棟チームでの多職種連携に加え、法人内の老健や訪問リハビリとの連携で退院後の暮らしまで見据えたリハビリに取り組めます。京都・宇治エリアで作業療法士・理学療法士・言語聴覚士として働きたい方は、まずは職場見学からでも大歓迎です。採用情報・エントリーは下記よりお気軽にお問い合わせください!

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【先輩インタビュー】
・多疾患重複障害と、じっくり向き合う。宇治病院リハビリテーション部が大切にする「人を診る」リハビリ
・元気はフィジカルじゃなく心から。総合病院・精神科・老健を経た作業療法士が宇治病院で見つけた「その人に合ったリハビリ」
・手厚い指導体制と教育計画。新人セラピストが自信を持って成長できる環境

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