看護部長メッセージ|患者さんの感情に寄り添える時間を、もっと増やしてあげたい
看護師免許を取得後は、国立病院機構の病院で30年近く勤務。看護師長としては、同法人の滋賀病院(現東近江総合医療センター 滋賀県)、南京都病院(京都府城陽市)で勤務した。2012年に社会福祉法人あじろぎ会 宇治病院に入職し、現在看護部長として看護部のマネジメントを担っている。
▼目次
・私が考える看護師像
・みんなが効率良く働ける環境づくりを
・宇治病院で経験できること
・生活行動回復看護(NICD)
・多様性を大切にする看護部
私が考える看護師像
医師は疾病を治療する人、看護師はその疾病が及ぼす体への影響・生活への影響をアセスメントして関わる人。ただ寄り添って優しくすればいいというものではなく、この疾病のことを深く理解し、生活に及ぼす影響を考えた上で介入していく仕事だと私は考えています。
また、疾病のことを学んで知識があるだけでもダメで、患者さんのこれまで生きてきたライフサイクルやその人となりを理解して寄り添えないといけません。そうした時に一番大事なのは、『患者さんの感情の中に、自己の感情を投入できるか』だと考えます。
例えばがん患者さんに対して、『がんを患って今どういう感情でいるのか』と想像し自分の感情を近づけていく。そうした寄り添い方ができる看護師を育てていきたいと考えています。
みんなが効率良く働ける環境づくりを
今の看護師たちは、やらなければいけない業務がとても多い。私自身がマネージャーとして取り組まなければいけないことは、職場環境やツールをしっかり整備して、業務を効率的にできる方法を考えていくことだと考えています。そして、看護師が看護師にしかできないことに向き合える時間を増やしていきたいと考えています。
その一つはタスクシフトです。看護師でないとできないこと、看護補助者などの他職種が代わりにできることを整理して、そこに人材を配置して業務の最適化を進めています。看護補助者の中でも、直接的看護補助者/間接的看護補助者/事務的看護補助者/トランスポーターといった形で業務に分けて、人材要件を再定義しました。業務を整理・人材を配置し最適化することで、看護師には患者さんのそばにいられる時間を長く持ってほしい。ベッドサイドで患者さんの感情に寄り添ってもらいたいと考えています。
タスクシフトを進めた結果として、看護現場の人材確保にも繋がっています。おむつ交換など直接的な介護業務は難しいけれど、物品補充や環境整備などの間接的なお仕事であればできるといった形で、支援学校の卒業生を採用させていただいています。皆さんがそれぞれのできる範囲でイキイキと働いてくれています。
宇治病院で経験できること
宇治病院は『患者さんたちを生活に繋ぐところ』だと思っています。
例えば、急性期でイベントがあって口から食べられなかった期間がある患者さんに対しては、お家に帰った時に食べられるように摂食・嚥下療法を。褥瘡ができてしまった患者さんに対しては、リハビリスタッフと協力した褥瘡対策ケアを。肺炎を起こして息がしづらい患者さんに対しては、看護師とリハビリスタッフによる呼吸療法に取り組んでいます。
摂食・嚥下、呼吸療法、褥瘡ケアの他にも認知症ケアといったキーワードが集まっている病院で、それぞれの分野でしっかりと専門知識を身に付けた看護師を育てていきたいと考えています。最近では、呼吸療法分野の特定行為研修修了者や摂食・嚥下障害看護認定看護師が育ってきています。
病棟ごとに特色
2西病棟では、心不全や肺炎の重症患者さんや手術後の患者さんといった急性期看護を学ことができます。新卒や第二新卒のまだ経験が浅い看護師は、ここで基礎的な看護技術や知識を身に付けることができます。そして、自分のやりたい看護・興味のある分野を見つけることができたら、認知症ケアや呼吸療法などより専門的に学ぶことができる病棟を経験することも可能です。
生活行動回復看護(NICD)
当院では、生活行動回復看護(NICD)黒岩メソッド(口腔リハビリ)を積極的に行なっている数少ない病院の一つです。NICDとは、主に遷延性意識障害や寝たきり(廃用症候群)の患者さんに対して、移動・食事・排泄・睡眠など生活に関わる行動を可能な限り回復させる支援をする看護リハビリです。この技術を習得するために、当院に所属する学会認定看護師が講師を務める講習会を開催しています。
「理想の看護師」をつくる教育システム
「働く人を大切にする」とは、人の能力が活かされて、心・身体・収入・時間などの面でも安心して働くことができるとともに、成長していけるようにすることです。自己の成長なくして、やりがいは持てません。そのためには学ぶことが重要です。
宇治病院看護部ではラダー教育を導入しています。到達目標として、前述した生活行動回復看護(NICD)を看護部のみんなが習得できるように教育プログラムに組み込んでいます。
認知症看護認定看護師や摂食・嚥下障害看護認定看護師、呼吸期関連の特定看護師といった専門知識を持ったプロフェッショナルたちが、年間計画の中で研修を企画・実施してくれています。
多様性を大切にする看護部
近年は、私自身多様性をすごく大事にしようと考え、時代に合わせて組織のあり方も見つめ直してきました。色んな人を受け入れて、色んな人の話を聞きながら、垣根がなく「ここだったら何でも言っていいんだ」と心理的安全性を感じてもらえる組織にしたいと考えています。
部長室はいつでも入ってきていいし、ドアを開けているので通る人にこちらから声をかけることもできます。病棟を回った時には職員たちへ積極的に声をかけるようにしています。その中で、色んな意見を出してくれる人がいます。能力を持った人、その分野にすごく長けている人を見つけて、人材をどんどん活用していける組織でありたいと思っています。
働く人、働き方も多様に
採用においても、多様性を大事にしたいと考えています。新卒看護師や中途看護師だけでなく、前の職場がちょっと辛くてすぐに辞めてしまった第二新卒の方も受け入れています。
働き方も、自分の大切な人を大切にしながら看護師が続けていけるような方法を考えようと思うと、さまざまな働き方のパターンを作ってきました。今では夜勤専従や日勤だけの方、週1回のパートの方、勤務時間もフレックスに選べて時短勤務の方が活躍してくれています。
就職検討中の方にメッセージ
宇治病院で働いている職員は、思いやりのある人が多い。必要な時には厳しいことを言う時もありますが、全体的に外からの人を温かく受け入れる雰囲気があると感じます。
少しでも当院に興味のある方は、お気軽に病院見学にいらしてください。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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