多疾患重複障害と、じっくり向き合う。宇治病院リハビリテーション部が大切にする「人を診る」リハビリ

リハビリテーション部 統括部長 藤井
平成15年に理学療法士免許を取得。急性期病院、介護保険分野(通所・デイ・訪問)でのリハビリに従事したのち、リハビリ特化型デイサービスや訪問看護事業所の立ち上げ、サービス付き高齢者向け住宅の施設長など、複数事業所のマネジメントを経験。社会福祉法人あじろぎ会に入職後、現在は統括部長として、病院・老健・訪問・デイサービスのリハビリ職員74名(2026年8月1日現在)を事業部横断でマネジメントしている。
▼目次
1.私のリハビリ観「人を診る」
2.多疾患重複障害とじっくり向き合える
3.幅広い経験の先に見つける、自分だけの専門性
4.本人の「やってみたい」から始まるきゃキャリアパス
5.就職を検討中の方へ
急性期から在宅まで。幅広い経験が育てた「人を診る」リハビリ観
私が理学療法士として最初に勤めたのは急性期病院でした。当時は毎日が目まぐるしく、患者様一人ひとりについてゆっくり考える余裕はありませんでした。その後は介護保険分野に移り、通所や訪問のリハビリを経験し、リハビリ特化型デイサービスや訪問看護事業所の立ち上げ、サービス付き高齢者向け住宅の施設長として、複数事業所のマネジメントにも携わりました。これまでの経験を活かせる職場を探していたところ、あじろぎ会がリハビリ部門を総合的にマネジメントする人材を募集しており、ご縁があって入職しました。
さまざまな現場を経て大切にしているのは、患者様を疾患ではなく「人」として診ることです。障害や疾患はその方の一部であって、全てではありません。機能の回復を目指すことはもちろんですが、最も重要なのは、障害や疾患を含めた生活の再構築だと考えています。そのために、ICFの個人因子や環境因子も踏まえて「できる方法」を一緒に考え、生活の選択肢を示して意思決定を支える。限られた時間の中で、最大限患者様を支えることを大切にしています。
管理者としての考え方に影響を与えてきたのは、職員の率直な意見の全てです。たくさんの人と考え方がある職場だからこそ、何を大事にし、何を優先すべきかを、芯をもって発信していきたいと思っています。

入院期間にとらわれず、多疾患重複障害とじっくり向き合える臨床
私たちリハビリテーション部は、「山城北圏域における、ポストおよびサブアキュート機能を有する病院としてのリハビリテーション体制強化と最適な転帰先決定を担う役割を継続する」という方針を掲げています。宇治病院は、急性期医療機関や介護施設、診療所からの受け皿であり、在宅や後方機関、施設へのつなぎ役でもあります。どちらかというと慢性期寄りの病院で、入院期間の制限が比較的少ないため、1人の患者様にしっかりと長く関わることができます。
入院患者様の多くを占めるのが、多疾患重複障害のある高齢の方です。脳梗塞による片麻痺や骨折の術後は、いわばリハビリの王道ですが、当院ではそれを既往歴として持つ方が多くいらっしゃいます。例えば、今回は肺炎で入院されたけれど、以前に脳梗塞を発症して片麻痺があり、転倒による頸部骨折もある、といったケースです。複数の疾患や障害を踏まえながらリハビリを組み立てる必要があり、そこが難しさでもあり、当院の面白さでもあります。
急性期では、どうしても治療が優先されます。時間をかければ口から食べられる方でも、まずは鼻からチューブで栄養を確保する、ということも少なくありません。それは急性期の役割として必要なことです。私たちは、そうした患者様をお迎えしたときに、しっかりと時間をかけて、もう一度口から食べられる力があるかを見極め、リハビリに取り組むことができます。
慌ただしく過ぎていかない環境なので、背景にある病気を調べながら対応したり、「こうしたら良くなるかな」と試したりできる。一人の患者様とじっくり向き合えることが、この環境ならではの魅力です。

生活や背景まで考え抜く「その人にとっての最善」
「最適な転帰先の決定」も、私たちの大切な役割です。このADLであれば自宅に帰れるはず、という状態でも、ご本人を取り巻く事情から、そう簡単にはいかないこともあります。
社会福祉法人の病院として、さまざまな背景を持つ方をお迎えする中で、どう考えればその方にとって一番良いのか。身体機能や認知機能だけでなく、生活や環境まで含めて考え抜けることに、この仕事の一番の面白さを感じています。
幅広い経験の先に見つける、自分だけの専門性
私たちのリハビリテーション部には、専門性だけを追求するというより、疾患やリハビリ、さらには社会的な面まで幅広く経験したいと考えて入職する職員が多くいます。新卒の方も含め、1人の患者様に長く関われることに魅力を感じて来てくれています。
とはいえ、専門性を深められないわけではありません。整形外科疾患や呼吸器疾患に長けた職員がおり、臨床場面でその専門性を学ぶことができますし、学会発表や認定資格の取得に取り組む職員もいます。さまざまな内科疾患を経験する中で、血液データや画像所見、検査結果の見方を身につければ、疾患背景を踏まえたリハビリができるようになります。幅広い経験を積みながら、自分が深めたい分野を見つけていける環境です。
研修は年間計画で体系的に実施しており、理学療法課と作業療法課では、大学の准教授から週1回、臨床での指導を受けることもできます。

「本人に直接、事実を伝える」。気づきのアンテナを育てるOJT
リハビリテーション部の理念を実現する行動指針のひとつに、「多様性を尊重する心を持ち、『自助』と『互助』でより良い職場環境を創造します」という言葉があります。相手を配慮して関わることを大切にしたうえで、育成において私がこだわっているのは、「伝えるべきことは本人に直接伝える」ことです。
例えば「この人がこれをできなくて困っている」と報告を受けたら、「そのまま本人に伝えてあげて」と返します。指導する側も、される側も、言葉にしなければ分かりません。陰で言うだけでは、お互いに成長しないからです。
大切なのは、感情を乗せずに事実を伝えること。「ここができていないよ」「こうしたほうがいいよ」と、相手が動けるように伝え方を考えてほしいと思っています。アンテナがたくさん立っているほど、気づきは増えます。気づきを持ってもらうためには、言いづらいことも伝えなければなりません。OJTは、そこに尽きると考えています。

本人の「やってみたい」から始まる、押しつけないキャリア支援場
私たちリハビリテーション部では、一律のジョブローテーションは行っていません。働きたくない職場で働くことは、離職につながりやすいからです。こちらが意図して経験させるよりも、本人が自発的に「やってみたい」と思えることを大切にしています。
そのために、入職後の早い時期に法人内の各現場を体験できる仕組みをつくり、年3回の面談で一人ひとりの希望を聞いています。スキルの伸びを確認しながら「こういうこともやってみたらどう?」と投げかけ、それぞれのキャリアを一緒に考えています。

「自分ごと」で働く仲間と、自分の目で確かめてほしい現場
令和8年度の診療報酬改定では、多職種が病棟で協働する体制の評価などが打ち出されました。私たちも病棟での協働に積極的に取り組んでいますが、まだ十分とは言えない部分もあります。病院全体として、患者様により良く関われる仕組みを構築していきたいと考えています。
そのためにも、職員には、患者様へのリハビリ以外の業務も「自分ごと」として積極的に取り組み、職業人としての「自分の価値」を創造してほしいと思っています。臨床だけに固執せず、自分の仕事とその役割を客観的に捉えられる方と、一緒に働きたいですね。
リハビリテーション部のことは、文面だけでは分からないことがほとんどだと思います。顔を合わせないと伝わりきらないからこそ、ここに書いてあることが本当かどうか、ぜひ見学に来て、ご自身の目で確かめてください。その機会とその時間は、決して無駄にはさせません。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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社会福祉法人あじろぎ会・宇治病院のリハビリテーション部は、山城北圏域でポストアキュート・サブアキュート機能を担う病院として、多疾患重複障害のある患者様一人ひとりにじっくり向き合うリハビリテーションを提供しています。体系的な研修や大学准教授による指導、年3回の面談によるキャリア支援など、幅広い経験を積みながら成長できる環境です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士として、患者様の生活まで見据えたリハビリに取り組みたい方を歓迎します。まずは見学からでも大歓迎です。採用情報・エントリーは下記よりお気軽にお問い合わせください!